ある婚活イベントで司会進行をしていたときの話。
当社代表わくいっち★は、特別目立つ存在じゃなかったけれど、
穏やかな口調と、場をふんわり包み込むトーンには、
初対面の参加者でも自然と肩の力が抜けるような、そんな安心感があった。
その日も、いつも通りの雰囲気で、彼は自然とこう伝えていた。
🧑🦱 わくいっち★
「Oさん、男性陣から一番人気ですよ。わかるな〜、その理由。」
その一言に、彼女は頬を少し赤くし、照れたように笑った。
——そして返したのは、まさかのこのセリフ。
👩 Oさん
「嬉しいです。その言葉で3日は白飯だけでいけます☺️」
わくいっち★からこの話を聞いたとき、
思わず私も笑ってしまった。
……でもそのあと、
彼の心に何かが芽生えていたことも、少しだけわかった気がした。
アプローチカードには、わくいっち★の名前。
けれど、彼はそこから一歩も踏み出さなかった。
もちろん、司会者としての立場上——
恋愛感情を持ち込むわけにはいかなかったし、
それ以前に、彼自身こう思っていた。
「惹かれた。でも、無理だって思った。
自分にそんな関係をちゃんと築ける自信は、なかったんだ。」
婚活の現場では、いくつか小さな心の波があった。
でもこれは、その中でも——特別に心が揺れた“未遂のひとつ”。
第1章|白飯だけで、3日いけます
冬のある日。
彼は、婚活バスツアー「恋旅」の司会をしていた。
行き先は、イルミネーションが美しく輝く観光地。
参加者たちは、少しずつ距離を縮めながら、
非日常の旅を楽しんでいた。
旅の途中、自由行動の時間。
それぞれがグループやペアで散策を楽しむ中、
ふとしたタイミングで——彼とOさんが2人になる瞬間があった。
そのとき、彼女がふと話しかけてきた。
👩Oさん
「こういうのって……けっこうカップルできたりするんですか〜?」
彼は、いつもと同じ穏やかな口調で返した。
🧑🦱わくいっち★
「そうですね〜。その時の内容やタイミングによりますね。
でもなんか……こういうのって、
男性は“誰かといい感じになれたら”っていう期待で来る人が多いんですけど、
女性はどっちかというと、旅とかイルミネーションそのものを楽しみに来てる方が多くて……
そのへん、ちょっとズレが出るときありますよね😅」
そして彼はこう続けた。
🧑🦱
「Oさん、男性陣から一番人気ですよ。わかるな〜、その理由😅」
とくに深い意味はなかった。
「かわいい人だな〜」と思ったくらいで、恋心なんてまるでなかった。
彼女からも、特別な気配は感じていなかったという。
でも、Oさんは笑って、
頬を少し赤くしながらこう返した。
👩Oさん
「嬉しいです☺️……その言葉で、3日は白飯だけでいけます🍚」
この言葉に、「なにこの語彙力!?」って衝撃が走った。
冗談みたいで、でも妙にリアルで、
笑ったはずなのに、なぜか、心に残った。
そしてイベントの最後、提出されたアプローチカードに、
Oさんの筆跡で“わくいっち★”の名前が書かれていた。
「……え、俺の名前!?
……ウソでしょ……え、マジで……?」
その瞬間、心臓がドクンと鳴った。
思考が止まったというか、
魂、一瞬どっか持ってかれた気がしたらしい。
それでも彼は、何も行動を起こさなかった。
——その理由は、次章で明らかになる。
第2章|彼はなぜ、動かなかったのか?
「……え、俺……?」
驚きはあった。けれど、“気づかないふり”はしなかった。
あとで、こっそりOさんに声をかけた。
🧑🦱わくいっち★
「Oさん、なにやってるんですかこれー笑」
そのとき、Oさんはとても恥ずかしそうにうつむいて、
ぽつりとこう返した。
👩Oさん
「正直な気持ちです」
——その瞬間。
彼の中で、“白飯で3日”の意味が、はっきりとつながった。
あのときの「嬉しいです☺️」が、
ただの“お礼”じゃなかった。
彼女の“好き”が、あの言葉に染みていたんだ。
でも、彼は——
そこから先には進まなかった。
🧑🦱わくいっち★
「正直……付き合うとか、その先の将来って、あんまり考えられなかったんだよね。
もちろん、“誰かの親になる”ってことも頭の中ではぐるぐるしてたけど……
なんか、そこまで考える前に、一歩引いちゃってた。」
気になる。嬉しい。だけど、踏み込むことはできなかった。
それは、単に「司会者だから」だけではなく、
自分の中で“受け止めきれない壁”があったから。
だから彼は、
あの「正直な気持ちです」に、何も返さなかった。
彼女の笑顔を曇らせないように、
あえて“何もなかった”ように旅を締めくくった。
第3章|あの言葉が、まだ残ってる。
恋旅が終わって、
Oさんと再び会うことはなかった。
でも、ふとした時に思い出すことがある。
あのイルミネーション。
あの会話。
そして——あの言葉。
「嬉しいです☺️……その言葉で、3日は白飯だけでいけます🍚」
笑っていた。
でも、どこか本気だった。
冗談の皮をかぶった“想い”が、確かにそこにあった。
あのときの彼女は、
ただ笑わせたかっただけじゃない。
たぶん、自分の気持ちを
“笑いに託して伝えようとした”のだと思う。
日常では、まず聞けない。
思いついても、言えない。
でもOさんは、それを笑顔で言った。
本気の言葉には、
“忘れる自由”を与えてくれないチカラがある。
「付き合いたかった」とか、
「ちゃんと向き合えばよかった」とか、
そういう後悔はない。
でも、
“自分が受け止めきれなかった真実”が、まだそこにある。
そしてきっと彼は、
この先も何かの拍子に、
ふと思い出す。
あの夜の言葉を。
あの旅の灯りを。
そして——彼女の、あの笑顔を。
【まとめ】心のラストシーン
「また会いたい」とは、思わなかった。
「付き合ってたらどうなってたかな」とも、考えなかった。
でも、ふとした時に——
思い出すことがある。
彼女の声。
あのイルミネーション。
そして、あの“白飯で3日いける”って言葉。
それは、“恋”という言葉に乗らなかった。
でも、確かに心を震わせた。
「恋にならなかった」からこそ、特別なまま残ることもある。
きっと彼女にとっても、
そして彼にとっても、
あれは——ただの冗談じゃなかった。
照れ隠しの笑顔の奥に、ほんの少しの“好き”があった。
もう、思い出の中でしか会えないけれど。
たったひとつの言葉が、
今もどこかで彼の背中をそっと押している。
それが、
“恋をしなかったふたり”にだけ許された、
ささやかな幸せだったのかもしれない。
「私にも、あの人の言葉がまだ残ってる…」
そんなふうに思い出す夜があるなら——
そっと、誰かに話してみてもいいかもしれません。
匿名で、24時間いつでも。
誰にも言えなかった気持ちをやさしく受け止めてくれる場所が、ここにあります👇
それじゃ、また次の記事で✨
わくいっち★が心を置き忘れてきた場所、
みらいが拾い集めて、ここで語るから。
おしまい。
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